避妊・去勢手術について
避妊・去勢手術は何のためにするの?
避妊・去勢手術=「望まない妊娠を避けるため」というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。確かに少し前までは、妊娠を予防するのが一番の目的でした。
しかし現在は、多くの病気の予防や問題行動の軽減のために、避妊・去勢手術を提案することがほとんどです。ペットの高齢化に伴って、避妊・去勢手術の重要性は増しています。また、発情に伴う行動の変化がなくなることで、人と暮らしやすくなります。
避妊・去勢手術は何のためにするの?
避妊・去勢手術=「望まない妊娠を避けるため」というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。確かに少し前までは、妊娠を予防するのが一番の目的でした。
しかし現在は、多くの病気の予防や問題行動の軽減のために、避妊・去勢手術を提案することがほとんどです。ペットの高齢化に伴って、避妊・去勢手術の重要性は増しています。また、発情に伴う行動の変化がなくなることで、人と暮らしやすくなります。
避妊手術で予防できる病気 | 去勢手術で予防できる病気 |
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子宮蓄膿症 | 精巣腫瘍 |
子宮内膜炎 | 肛門周囲腺腫 |
子宮がん | 前立腺肥大 |
乳腺腫瘍 | 会陰ヘルニア |
※早期(最初~2回目の発情が起こる前)に避妊手術をすることで、乳腺腫瘍の発生率を低下させることができます。
避妊・去勢手術は動物病院でよく行われる手術ですが、ご家族や動物にとっては一生に一度の大きな決断です。
当院では術前検査内容や手術体制の充実、また動物のストレスを減らすための工夫を行っています。
手術日の1週間前以内に、身体検査・血液検査・血液凝固能検査(血液が正常に固まるかを見る検査)・胸部レントゲン検査を行います。高齢な子の場合は、全身麻酔前の心臓の検査を実施しています。
また、手術前のワクチン接種や、ウイルスの検査も合わせてお薦めしています。
前日の夜9時から絶食、当日の朝6時から絶水で来院していただきます。
身体検査を行い、問題なければお預かりします。
その後、点滴や静脈注射がすぐに行えるよう、血管の確保を行います。
全身麻酔がスムーズに行えるよう、鎮静薬・痛み止め・抗生物質などの投与を行います。
呼吸確保・ガス麻酔のための気管挿管を行い、呼吸・心電図・血圧をモニターします。
当院では必ず、獣医師が麻酔医を、看護師が記録係を担当し、麻酔管理を行っています。
その方法は疾病治療時のハイリスクな外科手術の麻酔と同じく、安全性の高い薬剤を選択し、バランス麻酔の概念を導入して実施しています。
痛みは出てしまってからではそれを抑えるのは容易ではないので、術前から鎮痛薬を使用し、先制鎮痛を行います。
また麻酔中にも鎮痛薬を使うことで、出来るだけ安全な麻酔を目指しています。術後も動物の状態を見ながら、鎮痛薬を選択していきます。
★避妊手術
開腹して、卵巣と子宮の両方を摘出します。
★去勢手術
当院で、皮膚の縫合部を除き、体内に使用する糸はすべて、身体に吸収されて後に残らず、また感染にも強いと言われているモノフィラメントの吸収糸を使用しています。(皮膚の縫合糸は抜糸をします。)
麻酔の覚めに問題なければ、当日の夕方にお迎えに来ていただきます。基本的に、入院は必要ありません。
手術の翌日と3日後に、消毒とガーゼ交換を行います。問題なければ、抜糸は約10日後に行います。
Q
手術すると発情行動が無くなり、その結果、消費カロリーが15~25%減少すると言われています。そのため、肥満が起こりやすいのは事実です。
ただ、肥満は食餌の量をコントロールすることで予防することが可能です。
Q
最初の発情が来る前に手術をすると、乳腺腫瘍の発生率はほぼ0%になります。
発情を経験するたびに発生率は上昇するので、出産を希望されない場合は早期の避妊手術をお薦めしています。
Q
手術をしても、生まれ持った元々の性格は基本的に変わりません。ただ、性ホルモンによるストレスから解放されるので、行動が安定しておとなしくなることはあります。特に雄犬で見られる問題行動である、「吠える」「咬む」などの攻撃性は、性成熟前に去勢手術することで減らすことができます。
ただし、性成熟後は学習した記憶が残ってしまうので、早期の去勢手術がお薦めです。
Q
当院では6カ月齢から手術を行っております。さらに、最近は二次性徴(一度発情を迎える)が起こることで体の成長が完成し、心理面に良い影響を与える可能性があるという考え方もあり、手術のタイミングはご家族とご相談の上で決めています。
生後4~6ヶ月齢の手術は、成長に影響しないと報告されています。アメリカの動物保護施設では、10年ほど前から生後2~3ヶ月齢で手術を行っていますが、問題は全く報告されていません。当院では6ヶ月齢から手術を行っています。
Q
避妊・去勢手術することで、生殖器の多くの病気を予防することができます。
また、発情のストレスを感じることなく生活を送れるので、寿命は延びると言われています。
Q
痛みは動物の身体に大きな負担となり、傷口の治りも悪くします。
手術などの刺激が与えられる前に鎮痛薬を使用して痛みをブロックすることが、鎮痛に効果的と言われています。当院では術前から鎮痛薬を投与し、また術後も長期間持続する鎮痛薬を使用することで、痛みをできるだけ感じないように処置しています。
Q
費用はワンちゃんと猫ちゃんで異なります。また、ワンちゃんは体重で変わります。上記でご説明した術前検査(血液検査・レントゲン検査)から手術当日までの費用を全て含めての設定になっております。具体的な費用は、当院までお問い合わせください。